相続登記の義務化がスタートしました
Table of Contents
相続発記がされないこと等により、所有者不明土地が増加している現状
※所有者不明土地とは・・・
1. 不動産登記等により所有者が直ちに判明しない土地
2. 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地
所有者不明土地の割合:国全体の土地の 22%(H29国交省調査)
その原因:相続登記の未丁66%住所変更登記の未34%
→公共事業、復旧・復興事業、民間取引などの土地の利用を阻害
背景
• 相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくても不利益を被ることは少ない
• 都市部への人口移動や人口減少・高齢化の進展等により、地方を中心に、土地の所有意識が希薄化→土地を利用したいというニーズも低下
• 遺産分割をしないまま相続が繰り返されると、土地共有者がねずみ算式に増加
→高齢化の進展による死亡者数の増加等により、今後ますます深刻化するおそれがあり、所有者不明土地問題の解決は喫緊の課題となっている。
相続登記の申請の義務化
■不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相線登記の申請をすることを義務付ける。
■正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処することとする。
問題点
• 相発生後は、遺産分割がなければ全ての相続人が法定相続分の割合で不動産を取得(共有)した状態となる。
• 現行法の下でも、この共有状態をそのまま登記に反映する方法(法定相分での相続登記)があるが、法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定が必要であるため、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍騰本等の書類の収集が必要となる。(登記申請に当たっての手続的な負担が大きい)
相続人申告登記
相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにする観点から、新たな登記を設ける。
• ①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を、申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなす。(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになる。)
• 申出を受けた登記官は、所要の審査をした上で、申出をした相続人の氏名・住所等を職権で登記に付記する。→登記簿を見ることで相続人の氏名・住所を容易に把握することができる。
• 相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申出できる。(他の相線 • 人の分も含めた代理申出も可)
• 法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定が不要となる。添付面としては、申出をする相人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍勝本を提出することで足りる。(資料収集の負担が軽減される)
【相続人がすべき登記申請の内容】
3年以内に遺産分割が成立しなかったケース
→まずは、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行う。
→その後に遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3年以内に、その内容
3年以内に進産分制が成立したケース
→3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、これを行えば足りる。
→それが難しい場合等においては、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割成立日(死亡日ではない)から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
遺言者があったケース
→遺言(特定財産承継言又は遺贈)によって不動産の所有権を取得した相続人が、取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請(相続人申告登記の申告でも可)を行う。
相続登記の申請の義務化に関する経過措置について
• 施行日(令和6年4月1日)前に相続が発生していたケースについても、登記の申請義務は課される。
• 申請義務の履行期間については、施行前からスタートしないように配慮される。具体的には、施行日とそれぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から法定の期間(3年間)がスタートする。