第22回 不動産承継セミナー 前田康秀先生「地面師はダメ。ゼッタイ!」

2026年2月14日にNPO法人不動産の承継を成功させる会の不動産承継セミナーが行われました。
今回は宅建士の前田康秀先生に、過去の興味深い事件について語っていただきました。
会員の方はビデオを見られますので良ければビデオでお楽しみください。
以下エッセンスのみですがそうぞしてお楽しみください。
Table of Contents
概要
このセミナーは資産承継をテーマに、不動産に関する2つの講演を予定している。1つ目の講演は、過去に発生した宗教法人を名乗る地面師による不動産詐欺未遂事件について、その手口や経緯、関連する登記情報の変遷を講師自身の体験談に基づいて詳細に解説するものである。
1. 地面師による宗教法人悪用詐欺事件
- 事件の概要と発端
- 講師が過去に経験した、宗教法人を乗っ取った地面師による不動産詐欺未遂事件。
- 約22年前、某宗教法人の代表役員を名乗るM氏から、Eメールで教会の売却仲介依頼があった。
- 犯人との接触と不信感
- M氏は登記簿や身分証明書を提示し、正規の代表者として媒介契約を締結。
- 購入希望者(5662万円)が現れ交渉が進むにつれ、講師はM氏が目を合わせて話さず、逃げ腰な態度であることに不信感を抱き始めた。
- 手付金を巡るトラブルと事件の発覚
- 講師が手付金約500万円の保全措置を相談したところ、M氏と連絡が取れなくなった。
- 後日、M氏から「手付金の預かりは業法違反」との内容証明郵便が届く。
- その後、愛知県の宗教法人管轄部署から「M氏は詐欺師であり取引を中止するように」との警告を受け、事件の真相が判明した。
- 詐欺師の手口
- 元の代表者がアメリカへ帰国し長年放置されていた宗教法人に対し、M氏が役員会を開いたかのように装い定款を偽造することで法人を乗っ取り、正規の代表者として登記されていた。
- この手口により、提示された登記情報は全て形式上正しく、見抜くことが非常に困難であった。
- 発生した損害
- 契約は不成立だったが、測量士による現況測量費用や仲介業者としての労力が損害となった。
2. 事件後の登記情報と関係者の動向
- 売却対象物件(北区楠木)の変遷
- 事件後、この物件は令和5年に某建売業者に所有権が移転し、その後分筆され個人の所有となっている。
- 犯人(M氏)の別の詐欺行為
- M氏が拠点としていた別の建物で、長野県の宗教法人に不正に売却する詐欺行為が発覚。元の所有者が「詐害行為取消」の判決を得て所有権を取り戻している。
- 関係した宗教法人の変遷
- 法人登記簿によると、M氏による乗っ取り後、代表者は日進市のH氏、横浜のN氏へと代わっている。不正に関与したのはM氏のみと考えられる。
- この法人が所有していた港区東茶屋の土地は、売却されずに残っている模様。
3. 不動産・法人登記と取引の注意点
- 宗教法人の仕組みと代表者変更
- 宗教法人は都道府県等の認可団体だが、代表者変更は「認可」事項ではなく、法人側で保管される「規約行為」に定められた手続きに則って行われるため、書類を偽造すれば不正な変更が可能になる場合がある。
- 取引における注意点
- 売主が真の所有者であるかの本人確認(免許証、評価証明の取得過程など)が極めて重要。
- 高額な取引やリスクが高い場合は、銀行保証や保険商品などを利用した手付金の保全措置を検討すべきである。
- 法人登記制度の変更
- 現在、株式会社に限り、登記簿上の代表者の住所を途中までで省略記載することが可能になっている。
- 不正な登記は、裁判所の判決等がなければ法務局は抹消できない。







