第22回 不動産承継セミナー ちょっとなニュース 古川 元一 先生
冒頭でも触れましたが、お手元のパンフレット下部には最新のニュースが掲載されています。これに関連して、行政書士の古川先生より法改正の概要とその実務への影響について解説していただきます。
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法改正
行政書士の古川と申します。よろしくお願いいたします。解説と言うと少々大げさかもしれませんが、私の実務経験に基づき、今回の法改正で重要と思われるポイントをお話しさせていただきますので、参考にしていただければ幸いです。
今回の「農業経営基盤強化促進法」の改正は、大きく分けて「農地の集約化」と「農地の荒廃防止」という二つの目的のために行われました。この目的に沿って内容が刷新されましたが、その中でも実務に直結する大きな改正点として、「利用権設定の仕組みの変更」と「地域計画の策定」の二点が挙げられます。
利用権設定の仕組みの変更
まず利用権の設定について説明します。例えば、実務において相続や時効等によって農地を取得された方が、現在特定の農家にその土地を貸し出しているようなケースでは、所有権移転に伴い改めて賃借権(利用権)の設定が必要になります。改正前は、申請者が直接農業委員会へ書類を提出して申請すれば済んでいました。しかし、改正後は「農地中間管理機構(農地バンク)」が必ず間に介在し、取引の安全を担保する仕組みへと変更されました。
我々実務家にとっては申請の窓口が変わるという認識ですが、行政側の手続きとしては一部署増えることになります。
具体的に、私が担当したみよし市の事例では、この中間管理機構の窓口がJAのみよし営農センター内に設置されており、申請先がそちらに変更となっていました。
地域計画の策定
次に「地域計画」についてですが、これは農林水産省が各市町村に対し、地域ごとの農地利用の将来像を描く計画を策定するよう求めたものです。計画の範囲や内容は各市町村の裁量に委ねられていますが、農地の集約や荒廃防止を目的とした具体的な計画を立てるよう指示が出ています。
我々が申請業務を行う上で特に注意すべきなのは、この計画の対象範囲です。
農地にはいくつかの区分がありますが、最も規制が厳しいのは「農振農用地区域(いわゆる青地)」です。
肌感覚としては、ほとんどの市町村がこの「青地」の範囲をそのまま「地域計画」の対象範囲として定めているようです。そのため、手続き上は従来の「農振除外申請」に加えて、新たに「地域計画からの変更申請」という二重の手続きが必要になるという状況が生じています。
これら二つの申請自体はそれほど困難なものではありませんが、実務上、最も大きな影響が出ているのは申請の「タイミング」です。市町村の中には、地域計画の範囲を青地以外のすべての農地にまで広げて設定しているところもあります。その結果、通常であれば月に一度行われていた「農地転用」の受付締め切りが、4ヶ月に一度という極めて低い頻度に変更されてしまった市町村が存在します。
例えば、東浦町では通常の農地転用であっても受付が4ヶ月に1回となってしまい、実務を進める上で非常に大きな制約となっています。また、津島市においてもすべての農地が地域計画に含まれているため、今後の農地転用申請にはかなりの影響が出るのではないかと懸念しています。このように、今回の法改正は、調整区域における農地転用の実務において多大な影響を及ぼすものと考えております。






